Leicaflex SL

 ついに手を出してしまったライカの一眼レフです。ライカはレンジファインダー機に比べ、一眼レフは登場当時から評価が低く、中古市場でもあまり人気が無いのですが、それでも結構高いですし、長いフランジバックのため、ライカのボディに他社のレンズを装着することはコンバージョンレンズ無しには不可能で、ライカ純正レンズは高いので手を出さないでいたのですが、M3でライカレンズのすばらしさを味わうたびに近接時などに一眼レフで使いたい、という気持ちが強まってきていました。ビゾフレックスを使えばMシリーズでも一眼レフ的な使い方はできますが、使えるレンズは少ないですし、大げさになります(でもいつかは使ってみたいのですが)。
 レンズが良いといえばやはりツァイス。現行コンタックス一眼レフに手を出そうかとも悩んだのですが、こちらは現行ですからいつでもその気になれば集められるだろう、ということで、ライカの一眼レフに行ってみました。ライカの一眼レフは大きく分けて、初期のライカフレックス系とR系に分かれますが、これも悩んだ結果、R系は現行でもあるので、これまたいつでも大丈夫だろう、とライカフレックス系にしました(こちらのほうが安いですし)。ライカフレックス系では、初代のライカフレックス、SL、SL2ほかにMOT系がありますが、せっかく一眼レフで接写などを、と思いますので、TTL露出計の付いたもので、作り的には初期の方が良いらしいので、SLを選択しました。ライカフレックス系では一番製造台数も多く、市場にも多く出回っています。私のものは1969年製でSLが一番多く製造された年です。
 今回は銀座のレモン社で購入しました。委託品ですが、ある程度は自分でなおせるだろうという気持ちと、どうせなら何台かを比較しながら選択したかったので。手ごろな値段で、スローシャッターがスムーズで、露出計が動いて、ファインダーが比較的綺麗なものを選択しました。もちろん高速シャッターが開いているかどうかも見ました。
 レンズももちろん持っていなかったので、同じくレモン社にあったズミクロン50mmF2の2カムにしました。これはレンズにカビ・汚れがあり、相場よりかなり安い値段でした。R系は3カム以降でないと露出計の連動ができない(AEができないだけ?)ので、2カムまでのレンズは人気が無く、もともと安いのです。

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 早速手入れと内部検証のため、軍艦部を外したところです。軍艦部を外すこと自体は意外と簡単なのですが注意が必要なポイントが2つありました。

 プリズムの右側がシャッター速度の制御のゼンマイたちです。左は露出計関連です。 

 レンズ側から見たところです。プリズムの前に露出計の基板があり、3つの可変抵抗があります。実はSLの特徴的なデザインとなっているレンズ上の貼り皮をはがすと調整ができるようになっています。私は開け方が悪く、測光素子からの配線2本を切ってしまいました。はんだ付けでなおしましたが・・・。

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 プリズムを外してスクリーンを掃除しました。プリズムは写真のようにレンズ状になっており、これのおかげでスクリーンにフレネルレンズが不要になっている、と何かで読みました。

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 とくに調子の悪い個所は無かったので、ファインダー関連の掃除と、ギア部分にちょっと注油しただけで戻しました。本当はボディ下部も開けたかったのですが、三脚取り付け部に特殊形状のネジがあり、ここだけはどうしても外せませんでした。

 なお、赤い缶は購入時に瀬理香がレモン社でうるさかったときに店員さんがプレゼントしてくれたもので、相当気に入ってしまったようで私にくれません・・・。

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 レンズも分解してクリーニングできました。これほど簡単にレンズが取り出せる仕組みは初めてというくらい合理的な作りです。カビ・埃は無事にほとんど気にならないくらい除去できました。

 M用のDRズミクロンと並べてみました。鏡胴の太さはぜんぜん違いますが同じF値ですので、レンズは同じくらいの大きさです。レンズ構成はこの時期のM用とは全く異なります。

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 ライカが2台になりました。なんかうれしいです。ライカフレックスは初期のものは作りは良い、と言うことですが、それでもM3と比べると精密感がちょっと物足りません。

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 ALPA6cと並べてみました。この頃の一眼レフは皆形が味があって面白いです。並べてみるとALPAが意外とコンパクトなことに気がつきました(SLが大きいのかな?)。

 視度補正レンズはSL2以降は現行のR6.2用のものがつかえるらしいのですが、SLにはつきません。WEBをさまよっていたら、EOS-IXE用のものがつく、という情報を見つけ、早速買ってきてみると全く加工せずにはまりました。ちょっと縦に大きすぎなのですが。

 ただ、巻き上げレバーとわずかにぶつかるので、ちょっと削っておきました。

 さっそく試写してみました。ボディは大きくて重たいですが、意外と使いやすいです。フィルム巻き上げは分割巻き上げ不可ですが、これはおそらく呼び位置まで引き出すことで露出計のスイッチを入れるためでしょう(そうだとするとライカフレックスの最初期型は露出計常時ONなので分割できるのかな???)。巻き上げ角度自体は小さめです。意外だったのは露出計で、これはなかなか実用できるレベルです。ミラーをハーフミラーにし、サブミラーでボディ下部の測光素子に光を送り、スポット測光するのですが、精度はばっちり。ただ、測光素子の反応が遅いタイプなので、針の動きはゆっくりしています。
 レンズの描写もM用のシャープさと、ボケの柔らかさを併せ持ち、気に入りました。スクリーンがマイクロプリズムで、中心部はともかく、周辺もマイクロプリズムというのはあまり見やすくありません。うわさどおり、青く見え、ALPAといっしょに使ったのですが、ALPAの方がはるかに明るいのは、ALPAより後から出たのにいまいちです。まあ、ALPAもそうですが、ボディは使いやすくは無いです。が、やはりレンズが良いので困ってしまいます。

 タムロンのアダプトール2にもライカRマウント用があるので、GETしてみました。ただし、説明にR4用、とあり、ライカフレックス・SL・SL2・R3や新しいものも駄目、と書かれているのは気になったのですが、何とかなるだろうと・・・。

 連動カムの問題だけであれば絞込み測光で使えるだろうと思ったら・・・なんとボディにはまらないのです!!!マウント上部の出っ張りにぶつかってしまうのでした。しょうがないので当たる部分を削りました。真鍮製らしく、それほど大変ではありません。

 無事に装着できた様子です。初代ライカフレックスだともう少し削る範囲を広げないと駄目かもしれません。R3に使えないというのは別の理由みたいですがなんでしょう?

 露出計連動は無理ですが、自動絞りはちゃんと動きます。

 なお、アダプトール2の中でもライカR用は値段が高いのですが、一応作りも複雑です。絞りリングの回転方向と露出計連動レバーの回転方向が逆で、アダプトール2内部でギアを1つ使って逆転させています。他にも最小絞りのときに複雑な動きがあったりして作る手間もかかっていそうです。

 アダプトール2が一応使えるようになったので、ライカフレックスSLに使えるレンズが5本になりました。T2マウントも探せばもう1本増えますが・・・。

 実は、試写結果を見ると、シャッター幕の後幕のバウンドが分かりました。左端だけ2重露光になってしまうのです。シャッターブレーキの問題でしょう。裏ブタが外せれば良いのですが、特殊工具が必要で、まあライカなので、プロの修理やさんにお願いしました。
 ちゃんと直してもらえたのですが、すごい工賃。カメラ修理の大変さは自分でも良く分かっていますが、それにしても高い・・・。しかも、他で分解され、素人にいじられたため、シャッター速度などの調整に非常に苦労した、と言うことでした。もちろん私も上記のように分解していますが、シャッター関連はいじっていませんので、私より先にすでに誰かが分解していたのかもしれません。

 修理から戻ってきてしばらく使っていると、今度はストロボが発光しないことに気が付きました。修理前は使えていたので、修理に関係があるのか、と、メールで確認したところ、シャッター系とシンクロ系は違うので、無関係でしょう、と言う返事。さすがにもうお金も無いので、しばらくあきらめていましたが、ついに決心し、修理を試みました。はじめは上部をいろいろ調べたのですが、FP接点は軍艦部側にスイッチがあったのですが、X接点は見つかりません。そこで、底ブタをちょっと強引に開けてみました。他の一眼レフに比べ、圧倒的にシンプルな底なので、すぐにX接点のスイッチは分かりました。その部品を外してみたのですが、なんと、シャッターブレーキと同じ部品だと思われます。ちょっと調整しただけでX接点も無事に直ったのですが、なんだか納得いきません。おそらくもう一度修理に出したらまた高いお金を請求されたことでしょう。ボディを6万円ちょっとで購入し、シャッター修理に5万円近くかかり、さらに2万円くらい取られたのでは、はじめからもっと高いものが買えます。まあ、委託品を買ったリスクといえばそれまでですが、修理屋さんも今回は悪気があったのかどうかは分かりませんが、もう少し良心的に対応して欲しいです。別に言葉や態度などの不満があったわけではありませんが、もともと他で分解されていたから高く修理代を取る、とか、そういうことは委託品を買った私には直接関係ないことで、はじめは2万円くらいか、と言っていた修理代が、一気に5万円近くまで跳ね上がるのはどうも納得がいきませんし、X接点の問題も、どうも気になります。

 まあ、修理屋さんの本心を聞いたわけではないので、あくまで私の勝手な想像ですが、皆さんも委託品を買うときにはリスクを十分覚悟することと、ライカはやっぱり修理も高い、と言うことと、中途半端に分解したりして、それをまた売りに出さないで欲しい、あるいは出しても明記して、普通より安くするとか・・・。私としては結果的にはいい勉強になりましたし、今後もやっぱり安くて豊富な委託品を買うことでしょう。ただ、まともに使おう、あるいは高いもの、はやっぱり保証のある中古品の方が良いですね。委託品は自分で手入れも楽しみながら、ごまかしながら使う、と言うくらいに考えた方が良いかもしれません。


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