コンピューター:師匠と弟子の会話:本を読もう!


弟子:「なんと!前回から4年近くもこのコーナーが更新されてませんでしたね!!」
師匠:「うーむ・・・なんだかんだと忙しくてねぇ・・・あれ?前回もこう書いているな。」
弟子:「その割には、モデルガンのページやラジコンのページはすごい勢いで更新されてませんか?」
師匠:「チェックが厳しいな。私だって人間だから、ストレス解消も必要なのだ。」
弟子:「趣味がメインな生活という評判もありますが・・・。」
師匠:「仕事は時間を使えば良いってもんじゃないからな。ポイントをしっかりつかむことだ。その為には頭が柔軟でないといけない。それには趣味とかで頭をリフレッシュしておくのが良いのだ。」
弟子:「趣味のせいで寝不足で頭が働かないと言う噂もありますが。」
師匠:「・・・」
弟子:「毎回前置きが長いですね。ところで、いつの間にか師匠の本は5冊目まで登場しているではないですか!」
師匠:「4年も間があけば、そりゃ、いろいろあるわな。」
弟子:「4冊目は1冊目とほとんど同じという噂もありますが。」
師匠:「そのとおり。1冊目は意外と根強い人気があり(?)、内容が古くなったのと、UNIXというよりLinuxに的を絞った方が読みやすくなるだろうということで書き直したのだ。実際テーマは同じものが多いが、内容は本当に細かく書き直している。もちろんソースも。」
弟子:「5冊目は昨年発売ですね。1年に1冊ペースだったのに1年間ブランクがありましたが。」
師匠:「一昨年は本当に仕事が忙しくてね。北海道と東京をひと夏で何往復したことか・・・。夏休みも全く休めず、一度飛行機の中で気を失って気がついたら酸素ボンベを口につけられていた、というほどだった。」
弟子:「大変だったようですねぇ。もうその仕事の事は思い出したくもないのでは?」
師匠:「いやいや、そういう大変だった時こそ人間性が出るというかね、お客さんとも今でも親しく話せる状態だよ。当時の苦労は話のネタとして大活躍なのだ。苦しい思いでも過ぎてみれば結構懐かしいものだ。昔々、勤務先のゴルフ練習場の仕事でも4日間完全に一睡もしないで仕事をした経験もあるしな。楽なことばかりでは人間深みが出ない。」
弟子:「またまた脱線ですが、、ところで本を読もうというタイトルは、自分の本があまり売れていないので買ってくれということですか?」
師匠:「ずいぶん単刀直入に突っ込むねぇ。まあ、買ってくれればそれはうれしいが、最近、本離れがかなり進んでいるのだ。世間一般では活字離れとも言われているが。新聞や本を読まなくなっているのだ。インターネットやテレビなどに情報源を頼ってしまい、調べるのが大変な本が嫌われているのだろう。」
弟子:「インターネットは便利ですからねぇ。」
師匠:「もちろん私もそう思う。ただね、本には1つとても重要な良さがあるのだよ。」
弟子:「なんですか?お金を払うことですか?」
師匠:「自腹を切ると意地でも読まないと、という気持ちになるからな。まあ、それも一理あるが、もっと大事な点がある。それは前後の情報がたっぷりあるということだ。インターネットで調べ物をすると、検索機能などでいきなり目的の情報を見ることができるのは便利なのだが、反面、そこしか見ないという問題がある。さらにパソコンの画面ではスクロールやページを移動して大量の情報を読むのが疲れるから、ついついポイントしか読まないのだ。」
弟子:「そういわれてみれば、悩んでいた答えが見つかるとそのままページを閉じてしまいますね。」
師匠:「その点、本は移動中でもいつでも時間のあるときにじっくり読み直せる。おまけに本は1冊でそれなりに著者が1つのテーマに関して一生懸命いろいろな情報を詰め込んでいるので、系統的な情報がまとめて得られるのだ。私も仕事で急ぎの場合はインターネットで調べて終わってしまうが、役に立ちそうなテーマは、後でできるだけ本を購入し、じっくりと調べることにしている。」
弟子:「皆さんそうして無いのですかねぇ。」
師匠:「私の部署では本はどんどん会社経費で購入するように!と言い続けているのだが、買ったという伝票を持ってくるのは、一人当たり平均して1年でほんの数冊だな。私は平均しても月に1冊くらいは買っている。それでも足りないかもしれない。実際、私が自分で本を書くときには、ネットの情報ももちろん参考にするが、ほとんどは本の情報がきっかけになっている。ネットの情報は本に書こうとすると薄いのだよねぇ。結局仕事でも同じで、その場で解決できればそれでおしまいとなり、ノウハウとしてお客に頼られるような、深い情報が身につかないのだよ。ネットで調べてパッとできるくらいのことは逆に考えれば他の人でも大抵できるのだよ。お客としてはそういうレベルの人より、やっぱりネットにも出ていないようなノウハウを持っている人が本当に頼りになるものだ。」
弟子:「師匠のネットワークやUNIX関連に対するこだわりは相当ですものね。」
師匠:「たくさん本を読んで、さらに自分で作って実験しているからね。ネットワーク関連のプログラミングに関しては、本当に自信があるよ。まあ世界中ではもっともっとすごい人もいるのだろうけど、ほとんどのテーマは自力で解決できると思う。著書もほとんどネットワーク関連だしね。自信が無ければ本に書けないからね。」
弟子:「一番新しい本はこだわりすぎてあまり売れていないという噂も・・・」
師匠:「簡単な本はとっつきやすくて買いやすいのだろうけど、いざ仕事で応用しようとすると足りないことが多いものだ。仕事では性能や信頼性がポイントになるからね。ただ動けば良いってもんじゃない。」
弟子:「最近は師匠が手がけたシステムが、結構大規模なシステムの根幹部分で使われているようですね。」
師匠:「やっぱりそういう仕事はやりがいがあるというか、腕試しだね。要求が高いほど燃えてくる。それをクリアすればまたノウハウになるからね。そうやって蓄積したノウハウを著書として皆さんに提供したいと言うのが、私が本を書いている理由なのだ。」
弟子:「印税でお小遣いが欲しいと言う理由では無いのですか?」
師匠:「まあ、そういう目的も無いとは言えないけどね。最近はますますミドルウェアを使って、組み合わせ技術による開発が増えてきている。それはそれで短期間である程度の質のものができるから良いのだが、問題が起きると調査できなかったり、根本的に解決できなかったりする。やっぱり深い知識も必要なのだよ。IT業界の全員が深い知識を持っている必要はないと思うが、システムの鍵を握るレベルの人はいい加減な知識で作り始めてしまうと後でひどい状態になる。学校教育もJavaなどが中心になってきているが、コンピューターそのものの知識がない人間が本当にシステム全体を考えた開発ができるかどうか疑問だ。何事も背景が重要なのだよ。」
弟子:「オフショア開発も盛んですが。」
師匠:「一時期は、プログラミングは日本でやる必要はなくなるのでは、とまで言われていたが、実際はオフショアのまずい点もたくさんわかってきたのだよ。結局きちんと作る知識・経験がない人が設計したシステムはまともにならないし、単純にプログラミングだけ切り出して海外に出せない仕事も実は結構多いということもわかってきた。作りながら検討するタイプのシステムだね。お決まりの手法で単純に仕様だけ考えて作れば良い物はオフショアでも管理が上手くできれば問題無いと思うが、新しいものを作り出す、いわゆる「開発」の仕事だと作ってみては検討し、また作り、と、とても切り出すのは無理なのだ。Javaで業務系システムを構築するのは比較的切り出しやすいようだが、Cでネットワーク関連、という感じのタイプは難しい。」
弟子:「最近は組み込みシステムも注目され、軽くてコンパクトなCもまた見直されていますね。」
師匠:「性能要求が高いシステムでもCは見直されているよ。性能を高め難いperlなどのインタープリターでのシステムや、リソースを食いまくるJavaシステムをあらためてCに書き換えたいと言う要望も多いのだ。」
弟子:「その割に師匠の本は売れないようですが。」
師匠:「そうなのだ。本離れ、活字離れなのだな。でも、誰でもできる技術はオフショアに流れ、日本ではより付加価値の高い仕事が多くなる。しっかり本を読んで自分で試して、深いノウハウを実につけて欲しいのだ。」
弟子:「だいぶ長くなりましたが、技術者たるもの、1つや2つは薀蓄を語れるようになれ、ってことですね。」
師匠:「そうだ。まとめが上手くなったな。」
弟子:「そりゃ、4年も間があきましたからね。そうそう、師匠はいつの間にか会社での立場も変わったようで。」
師匠:「前社長から、代表取締役として会社全体のてこ入れをするように、と社長を任命されたのだ。とはいえ、今までの仕事ももちろんやっていて、自ら現場のネットワークパケット調査にも行くし、メールサーバのインストールにも行く。もちろんプログラムも作っている。さらに追加で他の部署も立て直すように、ということだ。」
弟子:「師匠は社長に向いているのですかねぇ。」
師匠:「それはやってみないとわからんのだ。私はとにかく機会を与えられたらチャレンジしてみるというのがモットーだからな。経営的なこととか経理的なことは苦手なのだが、少なくとも自分のやってきた分野の仕事や、やる気のある出来る人を引っ張り、そういう人により良い機会を与えていくことは自信がある。最近は高い目標を持つ若い人たちが我々の会社に興味を持ってくれ、一緒により高い目標に向かってがんばってくれるケースも増えてきた。そういう人が活き活きと仕事できる環境を作り、また、私がこれまで経験したノウハウや、人脈を共有していければ必ず会社として世の中の役に立つことができると考えている。できる学生は大手を目指す人が日本では多いが、仕事内容をきちんと理解して選択して欲しい。大手には大手の良さがあり、大手の仕事内容がある。我々のような中小には中小の良さがあるのだ。大きければ良いってもんじゃないし、小さいとできない仕事ももちろんある。要するに自分が何をやりたいか、どういう将来を考えているかなのだ。自分自身でシステム開発を本気でやってみたい人は是非一度話をさせて欲しい。この4年で仕事の内容は本当に自信を持って誇れるレベルに上がってきている自信がある。逆に自分から進んで技術にチャレンジしたくない人にはますます辛い環境になっている。新卒3年で事業部を作りたい、といって入ってくる人や、本を書きたい、自らの仕事を誇りに思える人生をおくりたい、という人がどんどん来てくれるようになってきた。一緒に楽しい仕事をしてみて欲しい。」
弟子:「だいぶテーマから外れてきましたが。。」
師匠:「まあ、そんなもんだ。とにかく一人で何かをやろうと思ったときは、まず本を読むことを考えてみて欲しい。時間が無くてネットで調べて済ませてしまった内容も、興味があると思ったものは是非本を買ってみて欲しい。それがあなたの本当のノウハウになっていくはずだ。」


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