組織の活性化
今回はちょっと変わった話題でも。
今日、会社で社長賞を授与しました。私の会社は成果と待遇がかなり密接に関わっていて、昇給やボーナスで評価していると言えるのですが、人間、良くも悪くも「慣れ」があり、日常的に得ている給料や、成功が続くとボーナスも高くてあたりまえという感じになりがちで、ありがたみが薄れ、気分が盛り上がりにくくなるものです。私としてはプロ野球の優勝祝賀会などは非常にうらやましいもので、チームとして目標を成し遂げた喜びを盛大に祝えると言うのはとても良いことだと思っています。一般的な社会人では、ノルマ達成などでもせいぜい居酒屋に飲みに行くくらいで、私の会社ではメンバー同士での飲み会も多少は補助を出しているのですが、それほど印象には残りにくい気がしています。
私が入社した頃、会社の壁に「社長賞」と書かれた賞状が額に入れられ飾られていました。金一封という文字も書いてあった記憶があります。なんとなく当時から、「ああ、私も社長賞をもらってみたいな、うれしいだろうな」と思っていたのですが、その後会社は紆余曲折があり、制度の変更などめまぐるしく変化し、いつの間にか私自身も管理的な立場になってしまい、ノルマに追われているうちにあっという間に年月が過ぎ去り、気がついたら社長になっていました。
社長になっても相変わらずノルマを自らたたき出すことに忙しく、ひたすら仕事の山に埋もれていた感じでしたが、このところ優秀で個性的なメンバーが増えてきて、さらに採用活動もなかなか好調で、そういうメンバーと打ち合わせをしていると、もはや私自身が目先の細かいことを片付けているより、優秀なメンバーたちに任せていき、私は会社全体の活性化に注力した方がはるかに大きな成果が得られる状態になっているのではないかと考えるようになってきました。
そう考えると、私が若い頃に憧れたこと、不満だったことなどを、実現、改革していくことが、メンバーが活き活きと仕事に打ち込む原動力になり、それがお客さんの役に立ち、社会貢献にもつながることなのだということで、まずは入社した頃に憧れた「社長賞」を復活させました。社長賞でこだわったのは「金一封」です。どうしても現金を手渡ししたかったのです。今では給料もボーナスも振込みで、もちろん損をしているわけではないのですが、やっぱり実感が薄く、さらに結婚すると家計直行というケースが多く、当人は意外とありがたみを感じにくい面もあるのです。経理とも相談し、ようやく実現できました。
社長賞には賞状も欠かせません。さすがに業者に依頼するまではやりませんでしたが、きちんとカラープリンターで印刷して作りました。文章を考えるのはわけないのですが、印刷してみるとなにか変・・・妻に見てもらったところ、「句読点が変?」と言われ、調べてみると、賞状には一般的に句読点は使わない、と書かれていました。理由は是非皆さんで調べてみてください。すぐに見つかると思います。金一封を入れる封筒には、毛筆で「社長賞」と書かねば、と、立派な筆ペンも買ってきました。習字は下手なのですが、良い道具を買うとなんとなく書く気がするものです。
メンバーの喜ぶ顔、あるいは表情には出さないかもしれないけど、心の底でうれしいという感じを味わってくれることを期待し、私なりに準備に励み、朝礼で渡しました。
あまり乱発してしまうと慣れてしまうと思いますが、社内とはいえ全社員の前で自ら苦労した結果を称えられることは、いつの間にか振り込まれていた手当てとは違った喜びを、多少は長く記憶してくれることでしょう。金一封はもちろん大した金額ではないのですが、皆で気兼ねなく飲みに行こうか、と計画しています。
人は、あるいは組織は、本当に小さなきっかけで大きく変わるものだと思っています。大切なのは努力したことが結果に結びつき、それを誉めてもらうことだと思います。リーダーは多少困難なことでも誇れる結果に結びつく仕事の機会を与え、もちろん途中叱咤激励は必要かもしれませんが、やり遂げたときにきちんと称えなければなりません。成功の喜びを繰り返し味わうことで人は成長し、組織はより高いレベルに育ち、また次の世代へと良い指導ができていきます。
私自身はすぐに自分から自慢するような性格ですので、実は意外と誉めてもらった記憶が少なく、今でも心の底では誉めて欲しくてたまらない気持ちがあると思っています。立場が上になるほど誉められるより叱られたり厳しい評価が増えてくる気がしますが、若い頃の苦労に見合う成功の褒賞はそれを乗り越えるための大切な原動力になることでしょう。子供が始めてのことに挑戦するときや、新入社員が始めての経験に挑むときは特に励ましと誉めることが大切だと思います。初めてのことに果敢に挑む姿勢こそが組織の活性化につながるのだと思います。
今後も社長賞に値するような、立派な成果を社員に期待したいと思いつつ、私も社長賞、欲しかったな・・・というちょっと甘酸っぱい思いと共に授与した社長賞でした。
2007.5.14
from 2007/1/13